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辞めて頂きたい従業員への対応

経営者や企業担当者は、能力不足や適格性に欠ける従業員の解雇について悩むことがよくあります。

解雇を検討する際は、従業員に対して十分な指導や支援を行うことが必要です。例えば、専門的な研修やアドバイスを提供し、改善のための具体的なプランを策定することが必要です。

従業員に企業の雇用努力を認識してもらう必要があります。

その上で解雇を検討する場合は、解雇理由について、従業員に正確に伝えることが必要です。従業員と企業の認識に食い違いがある場合は、訴訟を起こされる可能性があるため、慎重な対応が必要です。

 

退職勧奨とは

退職勧奨とは、雇用主が労働者に対して退職を働きかけることをいいます。

人員削減の必要があるためになされる場合や、勤務態度が悪かったり、成績が不振な労働者に対して退職を勧めるような場合が主なケースです。

 

退職勧奨には、いくつかのメリットがあります。

例えば、自発的な退職を選択する従業員に対しては、退職金や福利厚生などの報酬が提供され、企業側は必要な人員の調整が行え、経営戦略の見直しや新しい事業の展開などのチャンスが生まれることもあります。

一方退職勧奨にはいくつかのリスクもあります。例えば、退職勧奨を利用することで、企業が必要な人材を失う可能性があることや、報酬が不十分であった場合には、従業員から批判を受けることもあります。そのため、企業側は、従業員のニーズに合った報酬や福利厚生を提供し、退職勧奨を実施する際には慎重に検討する必要があります。

 

「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況」によると、退職勧奨での相談が毎年一定数あることがわかり、トラブルにつながりやすいことがうかがえます。

 

引用/厚生労働省「令和3年度個別労働紛争解決制度の施行状況

 

退職勧奨を進める場合の重要なポイント

●トラブル回避のための法的リスクを考慮する

退職勧奨を進める際には、法的リスクに注意を払う必要があります。例えば、強引な退職勧奨を行うことは、訴訟される可能性もありますので注意が必要です。

長時間、複数回にわたる退職勧奨は避けます。退職勧奨面談はせいぜい1回あたり30分以内、持ち帰り考えてきて頂き、次の面談は5~7日後に1回の計2回までとしてください。

 

●丁寧なコミュニケーションで進める

退職勧奨を進める際には、従業員とのコミュニケーションの改善が必要です。従業員に対して、退職勧奨の理由を丁寧に明確に伝えることで、従業員の理解が得やすくなります。また、退職勧奨を受ける従業員の意見や状況を考慮することで、従業員との信頼関係を築くことができ、退職勧奨に応じてもらいやすい環境をつくることができます。

 

●タイミングを考慮する

退職勧奨を進める際には、タイミングを考慮することが重要です。業務のピーク時や重要なプロジェクトの進行中に退職勧奨を行うことは、従業員にとって大きな負担となる可能性があります。適切なタイミングを選び、従業員に負担をかけずに退職勧奨を進めることが重要です。

 

 

従業員が退職勧奨に応じない場合の対応

従業員が退職勧奨に応じない場合、以下の対応方法を考慮することが重要です。

 

●従業員の意見を尊重

まず、従業員の意見を尊重することが必要です。従業員が退職勧奨に応じない理由を丁寧に聞き、問題点や懸念事項を把握することが重要です。

 

●再度説明する

退職勧奨内容を再度説明することことも有効です。

退職勧奨に応じてもらえる条件について、再度丁寧に説明することも有効です。また手当の増額など条件について見直すことも有効です。

 

●時間を置く

従業員に一定期間の猶予を与えることも有効です。この期間中に、従業員の要望に沿った対策を講じることで、従業員が納得し、退職勧奨に応じる可能性を高めることができます。

 


退職勧奨は、解雇を避けるための有効な手段ですが、適切な対応を怠ると損害賠償請求などのトラブルにつながる可能性がありますので、注意が必要です。

退職勧奨のポイントを押さえ、各ケースの事情を考慮しながら慎重に進めることで、円満な退職につなげることができるでしょう。