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メンタルヘルスケアの基本

メンタルヘルスとは

「メンタルヘルス」とは、心の健康状態を表す言葉です。職場におけるメンタルヘルス不調とは、労働者の心身の健康に影響を与えるストレス、悩み、不安などの問題に加えて、うつ病や統合失調症などの精神障害を指します。

従業員がメンタルヘルス不調になると、仕事への意欲が低下することがあります。そのため、職場にメンタルヘルス不調者が増えると、組織全体の活力が失われ、休職や離職が増える傾向が生じます。注意力や判断力が低下し、業務の効率が悪化するため、職場の生産性が低下し、労災のリスクが高まる可能性もあります。

従来の日本の職場では、個人の「気の持ち方」や「性格的な問題」といった側面が重視され、職場全体でのストレス対策が後回しにされる傾向がありましたが、近年メンタルヘルス不調が深刻な社会問題となっているため、個人がストレス状態に気づき対処することも大切ですが、管理者が中心となって、労働環境の適正化、過重労働の予防、人間関係の調整など、職場全体でのストレス要因の軽減に努める必要があります。

 

メンタルヘルス対策の現状

厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」によると、仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる労働者の割合は、令和3年は53.3%という結果が出ており半数を超えているのに対し、メンタルヘルス対策に取り組んでいる事業所の割合は、令和3年は 59.2%となっており、約4割の事業所が取り組んでいないという結果が出ています。

 

 

引用/厚生労働省サイト

 

職場でメンタルヘルス不調になる原因

厚生労働省の「職場におけるメンタルヘルス対策の状況」によると、「仕事や職業生活に関する強い不安、悩み、ストレスを感じる」とした 労働者のうち、その内容は「仕事の質・量」が最多で、次いで「仕事の失敗、責任の発生等」、「対人関係(セクハラ・パワハラを含む)」と続いています。

この結果から見ると、労働者のメンタルヘルス不調は労務環境が要因となっていることが多いことがうかがえます。

-人ひとりがメンタルヘルスについてる正しい知識を持ちストレス状態に気づき対処できるようにするとともに、管理者が中心となって労働環境の適正化など職場のストレス要因の軽減に努める必要があります。

 

引用/厚生労働省サイト

 

メンタルヘルスの4つのケア

セルフケア

セルフケアは、従業員が「自分の健康は自分で守る」という意識を持ち、必要な知識を身につけ、日常的にストレスに対処することを指します。しかし、正しい知識がなければ、不調のサインに気づくことができず、気づいてもどう対処すれば良いか分からない場合があります。そのため、事業主は、メンタルヘルス教育を通じて従業員をサポートする必要があります。また、ストレスチェックを行うことで、自分自身の健康状態を把握することも有効です。

 

ラインケア

ラインケアとは、管理監督者が職場のストレス要因を把握し、改善することを指します。管理監督者は、部下である社員の相談に耳を傾け、必要に応じて労働環境の改善などの対応を行います。事業主は、管理監督者がラインケアを日常的に実施できるように、研修や環境整備を行う必要があります。

 

社内の産業医等による専門的ケア

社内の専門スタッフによるケアは、産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフによるサポートを指します。事業場内で働く社員に対して、産業医や衛生管理者などの社内の専門スタッフは、セルフケアやラインケアが効果的に実施されるように全体的な支援を行います。具体的には、カウンセリングや定期健診、健康管理に関する情報提供、外部機関の紹介などを専門的な立場から行います。

 

外部資源を活用したケア

外部資源を活用したケアとは、外部の機関や専門家が行うメンタルヘルス対策のサポートを指します。社内の相談窓口を利用することを好まない労働者がいる場合や、外部の専門家の意見を聞きたい場合に効果的です。日ごろから、速やかな連携が得られる外部組織とのネットワークを構築しておくことが重要です。

 

メンタルヘルスの3つの予防

1次予防:予防

一次予防では、ストレスを発生させない職場を作る取り組みを行います。ストレス要因となる職場環境の問題点を把握し改善していきます。

ストレスの少ない職場を作るためには、社員へのメンタルヘルス教育が有効です。特に、管理監督者は主導的な役割を果たす必要があります。そのため、メンタルヘルス不調が職場に与える影響を理解し、社員の異変に気づけるよう基礎知識を学ぶ必要があります。また、社員が自身のストレス管理方法(セルフケア)を学ぶことは、メンタル不調の予防につながります。

 

2次予防:早期発見と対処

2次予防では、メンタルヘルスに不調が現れた労働者を早期に発見して、適切な措置を行うことで、より深刻な精神疾患の発症を防止することを目的としています。具体的には、メンタル不調者への発見の支援や、ストレスチェック、産業医との面談する機会、相談窓口の設置などの体制整備を行います。

社員の異変には、通常上司や同僚が最初に気づきます。また、管理監督者は、社員の健康を守るために異変に気づいた場合は、適切な措置を講じる必要があります。

 

3次予防:治療と職場復帰

3次予防では、メンタルヘルス不調を抱える社員の治療と、休職後の職場復帰・再発予防段階での取り組みです。治療中の社員には、休職期間中も精神面でのフォローが必要であり、職場復帰後には、無理をせず復帰できるようにリハビリ出勤の支援や、仕事面でのケアを行います。3次予防を怠ると再発や離職のリスクが高まるため、丁寧なサポートが必要です。

休職中の社員は、回復後に社会復帰できるかという不安や、会社に迷惑をかけたことによる罪悪感を抱えていることがあります。しかし、焦って早期に復職しても再発する可能性があります。定期面談を通じて、療養を急がずに精神面とも向き合って回復するようにサポートしましょう。

 

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