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安全配慮義務とは

安全配慮義務とは

労働契約において、使用者は従業員の安全と健康を確保するための配慮義務があります。これを「安全配慮義務」と呼びます。安全配慮義務は、従業員が業務中にけがや病気をしないようにするための措置を講じる義務であり、労働契約法や労働安全衛生法などの法律によって規定されています。

 

労働契約法第5条

「使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。」

 

労働安全衛生法第3条第1項

「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようしなければならない。また、事業者は、国が実施する労働災害の防止に関する施策に協力するようにしなければならない。」

 

安全配慮義務がもたらすもの

人材の定着化

職場環境を改善し、働きやすい環境を整えることで、従業員の定着を促進することができます。優秀な従業員を長期間採用し続けることで、企業は競争力を維持し、成長を続けることができます。

 

生産性の向上

従業員が心身ともに健康な状態で働けるように、職場環境を整備することは、業務上のパフォーマンスを向上させます。その結果、企業の生産性が向上し、経済的な効果を生み出すことができます。

 

企業のブランディング

良好な職場環境を提供することは、企業のブランディングにもつながります。従業員にとって働きやすい職場環境を提供することで、企業の評判が上がり、労働市場での人気が高まります。これによって、企業は競争優位性を維持することができます。

 

安全配慮義務を果たすための主な対策

労働災害防止の徹底

従業員の人命や健康を脅かす可能性について予見可能なリスクを徹底的に洗い出し、労働災害が起きないような対策を講じます。

回避策を講じずに健康被害が発生し、原因と結果に因果関係がある場合、企業は安全配慮義務違反に該当することになりますので注意が必要です。

 

労働時間の適切な管理

労働時間の適切な管理を行い、過重労働を防止しましょう。残業が必要な場合には上司へ申請をし、承認を受けた上で行うように従業員に指導することが大切です。労働基準法では、「時間外労働の上限規制」が定められており、月あたり45時間、年あたり360時間を超える時間外労働は原則禁止されています。

また、臨時的な事情で残業が必要な場合には、月あたり100時間未満、2-6か月の平均80時間以内(休日労働を含む)や年あたり720時間以内(休日労働を含まない)を守るようにする必要があります。

ただし、管理監督者にも労働時間に関する規定を守る義務があります。管理監督者は従業員を管理する立場にあるため、労働時間に関する規定に基づいた適切な管理を行うことが求められます。

従業員とともに労働時間の管理を徹底し、働き方の改善に取り組むことで、労働環境の改善につながることが期待されます。

 

メンタルヘルス対策

近年、精神障害による労災補償が増加しています。従業員のメンタルヘルス問題に適切に対処するためには、メンタルヘルスに関する教育や情報提供を行うなど、積極的なメンタルヘルス対策が必要です。また、社内カウンセラーの設置や、生じた課題に迅速に対応できる体制の構築も重要です。従業員が健康に働ける職場環境を整備することで、生産性の向上にもつながります。

 

ハラスメント対策

従業員に対しハラスメントの定義や発生事例、対処方法などを啓発する研修を定期的に行うことが、ハラスメント対策の最初の一歩になります。

また相談窓口を設置し、匿名での相談にも対応できる体制を整えましょう。加えて、ハラスメント行為が発生した場合には、速やかに適切な処置を行い、再発防止策を考えることも重要です。ハラスメント対策は、従業員の安全を確保し、職場の健全な発展につながっていきます。

 

 

 

 

 

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