就職差別とは、雇用する側が求職者の資質・能力・適性と関係のない事柄や、本人の責任でない事項などで、採用、不採用の判断をすることです。
また直接的な採否決定基準としていなくても、差別的な項目を含む社用紙の使用や、面接で出身地や親の職業を質問する、戸籍謄本の提出を要求する、採用試験の作文で家庭の事情を書かせるなどは、就職差別につながるおそれのある選考方法になるため注意が必要です。
日本労働組合総連合会の「就職差別に関する調査2019」によると、採用試験の面接で「不適切と思われる質問や発言をされたことがあるか」という問いに14.5%の就活生が「ある」という回答をしており、また「就職活動をしていて男女差別をされたことがあるか」との問いに「ある」と答えた就活生が28.3%いるようです。
男女差別は男女雇用機会均等法によって禁止されているにもかかわらず、未だにこのような男女差別が起こっているというのが現状です。
採用担当者によっては、面接という緊張感のある場面を和らげるためにした質問のつもりが、就活生にとってはその質問から逆に緊張したり、気持ちが沈んだりしてしまい、それが態度や回答に影響することがあります。それが採否の判断基準にも大きな影響を与えてしまう可能性があるため注意が必要です。
本籍を質問することで、公正な採用選考から同和関係者や在日韓国・朝鮮人の人たちを排除してしまうことになり、結果的に就職差別につながるおそれがあります。
・本籍地はどこですか。
・お父さんやお母さんの出身地はどこですか。
・住んでいる地域はどんな環境ですか。
・自宅付近の略図を書いてください。
・家の付近に何がありますか。
・ご両親はどこの会社に勤めていますか。
・あなたの家族の職業はなんですか。
・家族の収入はどれくらいですか。
・お父さん(お母さん)がいないようですがどうしたのですか。
本人の努力によって解決できない問題を採否決定の基準とすることになり、そこに予断と偏見が働くおそれがあります。
・住んでいる家は一戸建てですか。
・住んでいる家は借家ですか。
・所有している不動産はありますか。
思想・信条や宗教、支持する政党、人生観などは、信教の自由、思想・信条の自由など、憲法で保障されている個人の自由権に属します。採用選考に持ち込むことで、基本的人権を侵すことになります。
・あなたの信条としている言葉は何ですか。
・家の宗教は何ですか。
・何党を支持していますか。
・尊敬する人物を言ってください。
・自分の生き方についてどう考えていますか。
・今の社会をどう思いますか。
・将来どんな人になりたいと思いますか。
・どんな本を愛読していますか。
性別を理由(または前提、背景)とした質問は、男女雇用機会均等法の趣旨に違反する採用選考につながります。
・結婚や出産後も働き続けますか。
・(男性だけに、または女性だけに)残業は可能ですか、また転勤は可能ですか。
・スリーサイズはどれくらいですか。
厚生労働省では、公正な採用選考を行うための基本的な考え方として下記の2点を挙げています。
同和関係者、難病のある人、LGBT等の性的マイノリティなどの特定の人を除外せず、求人条件に合致するすべての人が応募できるようにすること。
応募してきた人が「求人職種の職務を遂行するにあたり、必要となる適性や能力をもっているか」ということを基準にして採用選考を行うこと
引用、参考/厚生労働省サイト