労働基準法第39条において、年次有給休暇は、雇用契約が開始してから6カ月間、労働日のうち8割以上出勤した労働者に付与しなければならないと定められています。
年次有給休暇の目的は、労働者の心身の疲労回復や労働力の維持と育成、ゆとりある生活の実現です。
年次有給休暇は、初めに付与された後、毎年一定の日数を労働者に対して付与します。これは労働基準法によって定められた事項であり、法律上労働者に認められている権利です。年次有給休暇は、労働者の申請によって権利が発生するものではありません。
令和4年就労条件総合調査の結果によると、労働者一人平均年次有給休暇取得率の年次水位は58.3%と過去最高の数字になっていますが、諸外国に比べるとまだまだ低い水準のようです。
引用/厚生労働省「令和4年就労条件総合調査」
年次有給休暇の付与日数は労働基準法第39条で規定されており、条件を満たす全ての労働者に対して有給休暇が与えられます。
・雇用から6ヵ月以上経過していること
・全労働日数のうち8割以上勤務していること
通常、雇用契約が開始された日から6ヵ月後を起算日(この起算日を有給休暇の基準日といいます)とし、その後1年ごと有給休暇が付与されます。
また、出勤率が8割に満たない年は、有給休暇は付与されませんが、出勤率が8割未満の年も勤務継続年数には含まれますので、有給休暇の日数を計算する際には注意が必要です。
例えば、勤務継続年数が1年6ヵ月の年に、出勤率が8割未満で有給休暇が11日分付与されなかった場合でも、翌年に出勤率が8割以上であれば、勤務継続年数は2年6ヵ月となり、新たに12日分の有給休暇が付与されます。
働き方改革の取り組みの一つに、2019年4月から法定の年次有給休暇が10日以上付与されているすべての労働者に対して、使用者は労働者ごとに付与日から1年以内に5日間の年次有給休暇を確実に取得させる義務が課されました。
この5日間には、時間単位の有給休暇での取得は含まれません。
従来の年次有給休暇は、労働者が使用者に申請して取得するという形式で与えられることが一般的でしたが、年次有給休暇の取得率が低いという問題があり、労働基準法における年次有給休暇の規定が改正されることになりました。
有給休暇の「基準日」とは、有給休暇が付与されるタイミングを指します。
労働基準法第39条によると、年次有給休暇の新たな付与日は、雇用開始日から6ヵ月後の日付となります。以降、この日付が毎年の年次有給休暇の付与日となります。たとえば、1月1日に入社した従業員の場合、基準日は半年後の7月1日となり、毎年7月1日に新たな年次有給休暇が付与されます。
ただし、基準日は法定の要件よりも早い日付で設定することは問題ありません。
法定通りのタイミングで有給休暇を付与すると、入社日が異なる従業員に対してばらばらの日付で有給休暇を付与しなければならず、労務管理業務が煩雑になるため、企業によっては法定とは異なる付与タイミングを設けているケースも少なくありません。
労働者が有給休暇を請求する権利には時効があります。
労働基準法第115条では、有給休暇の請求期限が2年と規定されているため、労働者が受け取った有給休暇のうち、未使用の分は翌年に持ち越すことができます。