試用期間とは、採用後に従業員の勤務態度や能力、適性などを判断するため、企業が設ける期間です。
採用選考だけでは従業員の適性を判断することが難しいため、実際の業務を通じて確認しようという考え方が主流となっています。
試用期間の期間は、仮の契約と考える人もいますが、過去の判例では正式な雇用契約として取り扱うこととなっています。
労働基準法では、14日以内に解雇する場合には予告が不要というルールがあるだけで、具体的な運用については企業の判断に委ねられています。
試用期間について具体的に定めた法律は存在しませんが、多くの企業で、3ヶ月から6ヶ月程度が設けられているようです。
試用期間中は、企業側に本採用を拒否する権利があるため、従業員は身分が不安定な状態にあり、あまりに長い試用期間は公序良俗に反すると判断され無効とされた過去の判例もあります。
試用期間は、採用した企業と従業員双方が相性を確認する期間であり、両者にとってメリットがあります。
企業側は、試用期間を設けることで、選考段階では見抜けなかった従業員の能力やコミュニケーション能力、時間管理能力を観察することができます。また、複数の意見を参考にして、従業員の適性判断も行うことができます。
一方従業員にとっては、試用期間は自分に適した職場であるか、職場の人間関係が良好かどうかを確認する期間とすることができます。
具体的な職場環境は入社後でなければわからないため、試用期間中に確認することができます。また、労働条件に誤りがないか確認できます。
自分に合わない職場だと判断した場合には、本採用を辞退して、次の職場を探すこともできます。従業員にとっては、長期にわたって働き続けられる職場かどうかを見極めることができるというメリットがあります。
試用期間は「会社側が、採用した社員を解雇する権利を留保している期間」とされていますが、実際には試用期間中や試用期間終了後に、会社側が社員を一方的に解雇することはできません。
企業が従業員を解雇しようとするときは、試用期間中かどうかに拘わらず、社会通念上相当と認められる理由が必要になります。
「社会通念上相当と認められる理由」とは、常識的に考えて解雇されても仕方がない理由ということです。例えば、遅刻や欠勤が繰り返され、正当な理由もない場合や、履歴書に虚偽の情報が含まれていることが発覚した場合、勤務態度が極端に悪い場合などです。
このような理由があったとしても、企業側は、従業員に対して何度も改善を促すなどの指導が必要で、何度も指導しても改善の兆しが見られない場合には解雇の判断を行うということになります。