労働条件の不利益変更が違法とされた場合の罰則は法律上定められていませんが、いったんトラブルに発展すると企業に様々な影響があります。
労働条件の不利益変更が行われると、従業員のモチベーション低下のリスクが生じます。
不利益な変更が行われると、従業員は自身の労働条件が悪化し、不公平な扱いを受けたと感じる可能性があります。
従業員の士気の低い労働環境は悪化しやすく、働きやすさや職場の満足度が低下する可能性があります。悪い労働環境の下では、従業員はストレスや疲労感を抱えやすく健康被害も起きやすくなります。
労働条件の不利益変更によってトラブルが発生すると、企業のイメージに悪影響を与える可能性があります。
従業員が不満を持ち訴訟などの行動に出る場合、それが外部に知れると、企業の評判が下がってしまうこともあります。社会的に問題視されるような労働条件の変更であった場合、企業の社会的責任や倫理性を問われることもあります。
顧客の信用低下を招き業績が悪化する恐れもあります。
労働条件の不利益変更によってトラブルが発生すると、企業の人材確保に悪影響を与える可能性があります。
従業員が不満を持って企業を去る場合、企業にとって重要な人材が流出してしまうことがあります。
また、不利益変更によって企業の評判が悪化すると、有能な人材が企業に応募することが減り、人材確保の困難化につながる可能性があります。
労働条件の不利益変更が違法とされた場合、それによって労働者が被った損害に対して、損害賠償を請求する可能性が生じます。労働契約の当事者には、変更前の労働条件が適用されるため、労働者は不当な状態が継続していた期間に受けた損害について、雇用主に対して賠償を求める権利を持ちます。
具体的な例として、基本給の減額が違法と判断された場合、雇用主は減給前の基本給を基準として給与を支払う義務を負います。
特に、不当な状態が長期間にわたり、多数の労働者が影響を受けた場合、未払い賃金の請求額は膨大なものとなり、会社の経営に大きな影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。